「自動車税が廃止される」というニュースやSNSの投稿を見て、「毎年払っている4万円ちょっとの税金がなくなるの?」と期待された方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、毎年5月に支払っている「自動車税(種別割)」が廃止されるという事実は、現在のところありません。
この記事では、なぜ「廃止」という噂が流れたのか、そして私たちの家計にどう影響するのか、最新情報を踏まえて分かりやすく解説します。
自動車税廃止で「4万円の支払いが0円になる」は本当?
結論:毎年払う「自動車税」は廃止されません
残念ながら、普通車を所有している方に毎年請求される「自動車税(種別割)」は、廃止の議論すらされていません。排気量に応じて25,000円〜110,000円程度(※2019年10月以降の新規登録車)かかるこの税金は、地方自治体の貴重な財源となっており、今後も継続して課税される見込みです。
例えば、1.5リットル超〜2リットル以下の普通車を所有している場合、年間の税額は36,000円(2019年9月以前の登録なら39,500円)ですが、この負担が近いうちにゼロになるという計画は政府内でも公表されていません。
SNSで拡散されている情報の「嘘」と「事実」
X(旧Twitter)などのSNSでは、特定の政治家の画像や演説の一部を切り取り、「自動車税廃止決定!」といった扇情的な見出しで投稿されるケースが後を絶ちません。しかし、これらは情報の「切り抜き」や「誤解」に基づいたデマです。
実際に政治家が言及したのは、複雑化した「自動車関連諸税全体の簡素化」や、購入時にかかる「環境性能割」の一時的な軽減・見直しについてでした。これを「毎年の自動車税がなくなる」と飛躍させて解釈した情報が拡散され、多くのユーザーが混乱する事態となっています。
なぜ「自動車税がなくなる」という誤解が生まれたのか
誤解の根源は、後述する「環境性能割」という別の税金の見直し議論にあります。この「環境性能割」も広い意味では自動車にかかる税金(自動車税の一種)であるため、ニュースの見出しに「自動車税の見直し(または廃止)」と書かれた際、内容を精査せずに「毎年の税金がなくなるんだ!」と勘違いして拡散してしまったのが真相です。
また、「自動車重量税」や「ガソリン税」など、車には多くの税金が絡んでおり、一般のユーザーにとってそれぞれの違いが分かりにくいことも、デマが広がりやすい背景の一つと言えるでしょう。
廃止されるのは「環境性能割」!自動車税との違いを比較
毎年5月に届く「自動車税(種別割)」の仕組み
私たちが「自動車税」と聞いて最も強く意識するのは、毎年4月1日時点の所有者に課される「種別割」です。これは道路の維持管理や公共サービスの財源となる「地方税」であり、車を公道で走らせる・所有すること自体に対するコストのような性質を持っています。車を持ち続ける限り、毎年1回、必ず支払わなければならない「ランニングコスト」としての税金です。
車を買う時に一度だけ払う「環境性能割」とは?
一方で、今回「廃止」や「見直し」の対象として議論されたのは「環境性能割」です。これは、2019年に「自動車取得税」が廃止された際、代わって導入された比較的新しい税金です。
最大の特徴は、車を購入した時(取得時)に一度だけ支払う「イニシャルコスト」としての税金である点です。燃費性能が優れた車ほど税率が下がり、電気自動車(EV)などは非課税になる仕組みですが、この税金自体をさらに簡素化しようという議論が、今回の誤解を招くきっかけとなりました。
今回議論されている「廃止・見直し」の対象はどっち?
議論の俎上に載っているのは、あくまでこの「購入時にかかる税金(環境性能割)」の方です。つまり、すでに車を所有しており、今まさに「毎年4万円の納税が苦しい」と感じている方にとっては、仮に議論が進んで環境性能割が廃止されたとしても、手元の納税通知書の額が減るわけではないのです。この「取得時の税金」と「保有中の税金」の取り違えが、今回の混乱の正体です。
結局いくら払うの?「4万円ちょっと」を払っている人の今後
毎年の自動車税が安くなる予定は今のところ「なし」
現在「4万円ちょっと」の自動車税(例:1,500cc超〜2,000cc以下の車両など)を支払っている方は、来年も、再来年も、現在の制度が変わらない限り同額の納税通知書が届きます。残念ながら「廃止によっていくらになるか」という問いに対しては、「0円にはならず、これまで通り全額支払う必要がある」というのが現実的な回答となります。
もし廃止されたら?家計への影響と減税の可能性
もし仮に、毎年の自動車税が完全に廃止されるようなことがあれば、家計にとっては年間3万円〜5万円程度の大きな余剰が生まれます。これは、平均的な世帯にとって1ヶ月分の食費や光熱費に匹敵する額であり、消費への波及効果は絶大でしょう。
しかし、自動車税は各地方自治体(都道府県)の一般財源として使われており、教育や福祉、インフラ整備などの重要な資金源です。これに代わる巨大な財源が見つからない限り、政府が簡単に「全面廃止」を選択することはないと考えられます。
走行距離課税など「新しい税金」が導入されるリスク
「自動車税が安くなる」という期待の裏側で、政府は電気自動車(EV)普及による「ガソリン税の収益減少」という問題に直面しています。その穴埋めとして検討されているのが、走った距離に応じて課税される「走行距離課税(走行税)」です。
もしこれが導入されれば、長距離通勤をしている方や地方在住の方の負担は、現在の自動車税以上に重くなる可能性もあります。「一つの税金がなくなっても、別の税金が増える」という構図には、今後も注意深く目を光らせておく必要があります。
ネットやSNSのデマに騙されないための見極め方
高市氏や政府が実際に発言した内容の真実
SNSでよく話題に上る高市早苗氏や他の政治家の発言を精査すると、その多くは「自動車ユーザーが負担する税金が9種類もあり、複雑すぎる。これを整理統合して負担を軽くすべきだ」といった、中長期的な税制改正の必要性を説くものです。
これは「いつまでに何をゼロにする」といった具体的な公約ではなく、あくまで「理想とする税制のあり方」についての議論です。こういった前向きな姿勢が、SNS上での拡散過程で「自動車税廃止が決定した」という断定的な表現に書き換えられてしまうことが多いため、情報の断片だけで判断するのは危険です。
「自動車税 廃止 いつから」で検索する前に注意すべきこと
もしGoogleやSNSで「自動車税 廃止 いつから」と検索しているなら、少し立ち止まってみてください。検索エンジンは、ユーザーが「知りたい」と思っている答えに近い記事を優先して表示します。そのため、根拠のない期待を持たせるようなコタツ記事や、アフィリエイト目的の不正確なまとめサイトが上位に来てしまうことがあります。
「いつから?」と時期を探る前に、「本当に廃止されるのか?」という「嘘・本当」の視点で検索し直すことが、情報の真偽を見抜く第一歩となります。
信頼できる情報源(官公庁や大手ニュース)の見分け方
確実な情報を得るためには、以下の3つのソースを確認する習慣をつけましょう。
- 官公庁のサイト: 総務省の「地方税制度」ページや、各都道府県の「主税局」の案内。
- 大手通信社・新聞社: 日本経済新聞や読売新聞、共同通信などのニュース記事。見出しだけでなく、必ず本文を読みましょう。
- 専門誌・JAF: 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)などのサイトでは、自動車税制に関する要望や現状の解説を詳しく掲載しています。
自動車税を少しでも安く抑えるための現実的な方法
燃費の良い車への乗り換えによる「グリーン化特例」
毎年の負担を物理的に減らす最も有効な手段は、依然として「エコカー」の選択です。排出ガス性能や燃費性能に優れた車(電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車など)を購入すると、新車登録の翌年度分に限り、自動車税が概ね75%軽減される「グリーン化特例」が適用されます。
一過性の減税ではありますが、初期の維持費を抑える上では強力な味方となります。
軽自動車に乗り換えた場合の税額シミュレーション
普通車で4万円を支払っている場合、思い切って軽自動車へ乗り換えることが最も確実な「節税」です。軽自動車税(自家用)は、2015年4月以降の登録車であれば一律年間10,800円です。
普通車で39,500円(1.5L超〜2.0L以下)払っている場合と比較すると、年間で約28,700円、10年乗れば約29万円近い差が生まれます。排気量にこだわりがないのであれば、この選択肢が現実的な「自動車税対策」となります。
古い車(13年経過)にかかる重課税を回避するタイミング
自動車税の制度で最も注意すべきなのが「重課」です。ガソリン車の場合、新規登録から13年が経過すると、環境負荷が高いとみなされ、自動車税が約15%上乗せされます。
例えば、もともと39,500円だった税金は、13年を超えると約45,400円になります。「古い車を大切に乗る」ことが逆に高い税金を招くという矛盾した制度ではありますが、この「13年目の増税」が来る前に車を買い替えるのも、長期的なコストを抑える賢い方法の一つです。
まとめ:自動車税廃止は一部の誤解!正しい知識で備えよう
「自動車税が廃止される」という噂の正体は、毎年払う「種別割」ではなく、「車を購入する際に一度だけかかる環境性能割の見直し」を指したものでした。
- 毎年5月に払う税金: 廃止の予定なし。これまで通り支払う必要がある。
- 車を買う時に払う税金: 制度の見直しや簡素化の議論が進んでいる。
期待していた方にとっては少し残念な結果かもしれませんが、SNS上の不確かな情報に惑わされて家計管理を誤らないことが大切です。政府が自動車ユーザーの重い税負担を理解し、本当に「毎年の自動車税」が安くなる日が来ることを願いたいものですが、それまでは賢い車選びや維持費の見直しで、自分たちにできる対策を進めていきましょう。
