「新型エルグランド、ダサい」――インターネットでそう検索すると、ネガティブな意見が目に飛び込んでくることがあります。
しかし、本当に日産のフラッグシップミニバンであるエルグランドは、デザインも性能も時代遅れなのでしょうか?
この記事では、「新型エルグランド ダサい」というキーワードの裏にあるユーザーの真意を徹底的に探り、デザイン、販売状況、そして搭載される最新技術(e-POWERなど)に至るまで、客観的な事実に基づいてその真相を解き明かします。
あなたが新型エルグランドの購入を検討しているなら、あるいは単にその人気低迷の理由を知りたいなら、この記事がすべての疑問に答えるでしょう。
新型エルグランドのデザインと評価
新型エルグランドの外観デザインを徹底分析
現行型エルグランドは、2010年のフルモデルチェンジ以降、大きなデザイン変更を経ずに今日に至っています。その外観デザインは、「低重心でワイドなスタンス」と「押し出しの強いフロントマスク」が特徴です。この低く構えたスタンスは、見た目の安定感だけでなく、走行時の重心の低さにも繋がり、ミニバンでありながらスポーティな走りを提供するという設計思想を体現しています。また、乗り降りする際のステップの高さが抑えられているという実用的なメリットもあります。
登場当時は、日産の新しいデザイン言語を体現する斬新なものとして評価されましたが、時間の経過とともに新鮮さを失いつつある、というのが「ダサい」という評価の一因と考えられます。具体的に見ると、フロントグリルはメッキパーツを多用した重厚なデザインですが、最新のトレンドである鋭角的なヘッドライトや、より巨大なグリルデザインと比較すると、丸みを帯びた形状やヘッドランプユニットの設計に古さを感じさせます。特に、競合モデルが次々と最新のトレンドを取り入れた鋭いデザインに進化する中で、エルグランドのデザインは、「古臭い」「迫力不足」と見なされがちです。
一方で、エルグランド独自の「重厚感」や「落ち着き」を好む根強いファンがいるのも事実です。過度にギラギラした装飾を避け、品格と安定感を重視したそのスタイルは、特に社用車やフォーマルな送迎用途において、高い評価を受けています。ボディカラーのラインナップも、ホワイトやブラックといった定番色に加え、深みのある濃色系が用意されており、「大人のミニバン」としての立ち位置を確立しています。
内装の魅力とユーザー評価
エルグランドが最も評価される点の一つが、豪華で質の高い内装です。それは、単に見た目の豪華さだけでなく、細部の素材選びや仕立てにまで徹底されています。
特に、上級グレードに採用される本革シートは、きめ細やかな質感と丁寧なダブルステッチ加工が施されており、ライバル車と比較しても優れていると評されます。また、ダッシュボードからドアトリムにかけて配されるウッドパネルは、光沢を抑えた落ち着いた木目調を採用しており、高級な応接室のような雰囲気を醸し出しています。
そして、エルグランドの真骨頂とも言えるのがセカンドシートの快適性です。クラス随一の快適性を誇るこのシートは、ロングスライド機構に加え、格納式オットマン(足置き)や多段階リクライニング機構を備えており、まるでリビングのソファのような座り心地を提供します。長時間の移動においても、乗員を疲れさせない配慮が随所に感じられます。
ユーザーからは「内装の高級感は今でもトップクラス」「シートの快適性だけは譲れない」というポジティブな声が多いものの、時代の流れとともに課題も見えてきています。具体的には、インフォテイメントシステムのナビゲーション画面サイズが最新モデルと比較して小さく感じられる点や、物理的な操作ボタンが多数配置されているインターフェースが、競合の持つ大型タッチパネルやフルデジタルメーターに比べて「古さを感じる」という意見も散見されます。また、スマートフォンの充電環境や最新の先進安全技術の表示方法についても、改良の余地があると言われています。
ライバル車(アルファード)とのデザイン比較
新型エルグランドを語る上で避けて通れないのが、最大のライバルであるトヨタ・アルファード(およびヴェルファイア)との比較です。この二台は、デザイン思想において明確な対比をなしており、それが販売台数の差に繋がっています。
アルファードが「威圧感」「高級ホテルのような華やかさ」を追求した、ハイトール(高全高)かつ箱型に近いデザインが特徴です。巨大なフロントグリルと薄型ヘッドライトが生み出す強烈な押し出し感は、市場の「高級ミニバンは目立ってなんぼ」というニーズに合致し、その結果として若年層やビジネス利用層からの圧倒的な支持を集めています。
一方、エルグランドは「大人な落ち着き」「低重心による走行安定性」を重視したデザインを貫いています。全高を抑えた設計は、車体のロール(左右の揺れ)を少なくし、運転手にとっての安心感と、乗員にとっての揺れの少なさに直結します。デザインの方向性が異なるため、一概にどちらが優れているという単純な結論は出ませんが、市場のトレンドは「広さ」と「威圧的な見た目」を重視するアルファードのデザインに傾いており、販売台数という観点では、より派手でトレンドを捉えたアルファードのデザインが現在の市場で優勢であることは明らかです。このデザイン思想の違いは、ユーザー層の分離にも影響しており、アルファードは送迎やステータス重視、エルグランドは運転の質や乗り心地を重視するファミリー層に選ばれる傾向があります。
新型エルグランドの販売状況と中古市場
新型エルグランドは本当に売れないのか?
残念ながら、新型エルグランドの販売台数は、競合モデルと比較して非常に厳しい状況にあります。販売台数の低迷は、単にデザインの好みの問題だけでなく、複合的な要因が絡み合っています。
販売が低迷している最大の要因は、モデルサイクルの長さと、アルファード・ヴェルファイアという強力な競合の存在です。現行モデルが10年以上という長いモデルサイクルにあり、その間に競合は複数回のフルモデルチェンジや大幅な改良を行ってきました。これにより、エルグランドは最新の燃費性能や先進安全技術の面で、どうしても見劣りしてしまう側面があります。特に、日本のミニバン市場では「モデルチェンジによる話題性」が販売を大きく左右するため、登場から時間が経ったエルグランドは不利な立場にあります。さらに、日産が力を入れてきたはずのハイブリッドシステム(e-POWER)の搭載が遅れていることも、燃費を重視する現代のミニバンユーザーにとって大きなマイナス要因となっています。
しかし、裏を返せば、「他と被らない個性的なミニバン」を求める層には魅力的な選択肢となります。エルグランドのユーザー層は、流行に流されず、「低重心による安定した走行フィーリング」や「内装の本格的な高級感」という独自の価値を理解し、あえてエルグランドを選び続けています。販売台数が少ないからこそ、街中で同じ車とすれ違うことが少なく、オーナーにとっては個性を主張できるというメリットもあります。
中古エルグランドの査定と価格動向
新車販売が低迷している影響は、中古市場にも顕著に及んでいます。一般的に、新車需要が高いモデルは中古車価格も高値を維持しますが、エルグランドはその逆の傾向を示します。
中古エルグランドは、ライバル車に比べて価格が下がりやすい傾向にあります。これは、新車時の需要と供給のバランスが影響しているためです。しかし、この価格下落は、中古車購入を検討しているユーザーにとっては大きなメリットとなります。新車では手が出しにくい最上級グレードや、オプションが満載された車両でも、比較的安価な予算で入手することが可能です。
特に、エルグランドの強みである豪華な内装を持つ上級グレード(ハイウェイスタープレミアムなど)が中古市場で手頃な価格で流通している点は注目すべきです。新車価格が500万円を超えていたモデルでも、年式や走行距離によっては半額以下で見つけることができ、購入者にとっては「価格以上の豪華さ」を享受できる、極めて高いコストパフォーマンスを発揮します。中古車市場におけるエルグランドは、「走りの質と高級な内装を低予算で手に入れたい」という賢い消費者のための隠れた選択肢と言えるでしょう。
新型エルグランドと競合モデルの販売比較
販売台数のデータを見ると、トヨタのアルファード(とヴェルファイア)がミニバン市場の圧倒的なシェア(70%以上とも言われる)を占めていることがわかります。エルグランドは、その巨大な影に隠れてしまっているのが現状です。この販売格差の背景には、デザインだけでなく、「パッケージングの思想」の違いが深く関わっています。
アルファードが追求したのは、居住空間の最大化であり、そのために全高を高く設定し、室内高を確保しました。日本のミニバンユーザーの多くは、この「広さこそ正義」という価値観に共感しています。
一方、エルグランドは、「高い走行性能」や「低重心設計」といったストロングポイントを優先しました。これにより、ドライビングの安定性は向上しましたが、競合モデルと比較すると室内高が低くなり、「居住空間の広さ」という点で一歩譲ってしまいました。現在のミニバンユーザーが最も重視する「居住空間の広さ」や「最新の派手なデザイン」というトレンドにエルグランドが乗り切れなかったことが、販売台数低迷の根本的な原因と考えられます。エルグランドの次期モデルでは、このパッケージングの方向性がどう変わるのかが、市場復活の鍵を握ると言えるでしょう。
新型エルグランドの搭載技術とその評価
日産のe-POWERシステムとは?
新型エルグランドの将来的なモデルチェンジで最も期待されているのが、日産独自の電動パワートレイン「e-POWER」の搭載です。
e-POWERは、従来のハイブリッドシステムとは一線を画すシステムです。最大の特徴は、エンジンが駆動には一切関与せず、発電専用に徹するという点にあります。車両の駆動はすべて高出力モーターが行うため、ドライバーはアクセルを踏んだ瞬間から、電気自動車(EV)のような滑らかで力強い加速と、静粛性の高い走行を体感できます。
このシステムがミニバンに搭載されることのメリットは計り知れません。ミニバンは車体が重いため、発進時や加速時に大きなトルクが必要になりますが、e-POWERのモーター駆動であれば、大排気量エンジンに匹敵する力強い加速フィールを、低燃費で実現可能です。特に、エルグランドが持つ低重心設計のシャシーと組み合わせることで、「ミニバンでありながらスポーティカーのような走り」というエルグランド本来の個性がさらに研ぎ澄まされると期待されています。現行エルグランドにはまだ搭載されていませんが、このe-POWERが次期モデルに導入されれば、走行性能面で競合に対する大きなアドバンテージとなり得、販売状況を一変させる可能性を秘めています。
運転性能とユーザーからの評価
現行エルグランドは、ミニバンらしからぬ高い走行性能で長年評価されてきました。その秘密は、車体の根幹を支えるシャシー設計にあります。
エルグランドは、競合が採用するトーションビーム式サスペンションとは異なり、後輪にマルチリンク式独立懸架サスペンションを採用しています。この構造は、セダンやスポーツカーなど、乗り心地と操縦安定性を両立させたい高級車に採用されることが多い技術です。マルチリンク式は、路面からの衝撃を効果的に吸収し、ミニバン特有の車体の揺れ(ロールやピッチング)を最小限に抑えます。
また、エルグランドの低重心設計は、車体の揺れをさらに軽減します。これにより、乗員はカーブや車線変更時にも不安を感じにくく、特に長距離運転や山道などでの安定感は、「さすがエルグランド」「ミニバンの概念が変わった」と評価するユーザーが多いポイントです。
「ダサい」というデザインに関する批判とは裏腹に、「走りの質」においては依然として高い評価を得ています。エルグランドを選ぶユーザーの多くは、単に広さだけを求めるのではなく、運転する楽しさや、乗員に提供する快適な移動体験を重視していると言えます。
新型エルグランドのグレード別特徴
現行エルグランドのグレード構成は、豪華な装備と迫力ある外観を持つ「ハイウェイスター」系が中心です。
- ハイウェイスター: エルグランドの主力グレードであり、専用のエアロパーツを装着し、スポーティーかつ豪華な外観と内装を持つのが特徴です。バンパー形状やグリルデザインが標準車よりもアグレッシブにデザインされており、多くのユーザーに選ばれています。
- ハイウェイスター プレミアム: ハイウェイスターの上級仕様で、本革シートや高音質なBOSEサウンドシステムなど、さらに豪華な快適装備が標準で搭載されます。主に、自家用での利用で最高の満足度を求める層に人気があります。
- VIP: 最高級の装備と快適性を備え、主に企業の役員送迎車やハイヤーとして利用される最上級グレードです。2列目シートが専用の独立タイプとなり、電動リクライニングや大型オットマン、読書灯など、移動中の快適性を極限まで高めた仕様となっています。このグレードは、エルグランドの「フラッグシップ」としての存在感を最も強く示しています。
グレードによって、内装の質感や採用される装備、そして中古車市場での残価率が大きく異なるため、中古車を探す際は、単なる価格だけでなく、装備表と走行距離を詳細に確認することが重要です。
新型エルグランドに対するユーザーの声
SNS上の反響と評価
SNS上での「新型エルグランド ダサい」という意見は、主に以下の2点に集約されます。
- デザインの古さ: 特にフロントデザインが、最新のミニバンのトレンドから遅れているという指摘。
- 車高の低さ: 競合がハイルーフ化を進める中、低重心を貫くエルグランドは「室内空間が狭い」と見られがちであること。
これらの意見は、単なる批判というよりも、市場における「高級ミニバン」の定義の変化を反映しています。多くのユーザーは、アルファードに見られるような、縦のラインを強調し、車体を大きく見せるデザインに「高級感」を感じるようになりました。エルグランドの持つ、横のラインを強調した「低くワイドなスタンス」は、スポーティさや安定感を表現するものの、現代の高級ミニバンに求められる「圧倒的な存在感」という点では、物足りなさを感じさせているのです。
ダサいとの声が多い理由とは?
「ダサい」という批判の背景には、主に三つの理由、すなわち「期待の裏返し」、「デザインの固定化」、そして「市場トレンドの逆行」があります。
一つ目の「期待の裏返し」は、日産のフラッグシップミニバンとして、常に最高峰であってほしいというユーザーの期待が、デザインの陳腐化によって裏切られたと感じている人が多い点です。エルグランドはかつて、日本の高級ミニバン市場を牽引したパイオニアであり、その名に恥じない進化を求める声は今も根強いのです。
二つ目の「デザインの固定化」は、現行モデルの登場から長期間が経過した結果、初期の斬新さが失われ、デザインが「見慣れすぎた」状態にあることです。人間の感性は、常に新しい刺激を求めます。競合が頻繁にデザインを更新する中で、エルグランドは新鮮味を提供できていないことが、批判的な評価に繋がっています。
そして決定的なのが三つ目の「市場トレンドの逆行」です。アルファードの成功により、市場のミニバンに対する美意識が「威圧的なデザイン=高級」へと変化したこと、つまり「ハイトール・ギラギラメッキ・巨大グリル」が市場の標準となったことが、エルグランドの評価を押し下げた最大の要因です。エルグランドの持つ「上品でスポーティ」なデザインは、この「威圧的な高級感」を求める巨大な市場と乖離してしまったのです。
ポジティブな意見とネガティブな意見の比較
SNSやレビューサイトで見られる、エルグランドに対する評価は、デザインと機能性で明確に分かれます。この対比こそが、エルグランドの個性と課題を浮き彫りにしています。
| 評価軸 | ポジティブな意見(エルグランドの強み) | ネガティブな意見(エルグランドの課題) |
|---|---|---|
| デザイン | 落ち着きがある、重厚感がある、大人の高級感、飽きがこない | 古い、迫力不足、トレンドに遅れている、顔つきが弱い |
| 走行性能 | 安定している、揺れが少ない、ミニバンとは思えない走り、運転が疲れない | 特になし(走行面での不満は非常に少ない)、燃費性能が悪い |
| 内装 | シートの座り心地が良い、高級感が抜群、ソファのよう、木目調の質感が良い | インターフェースが古い、収納が少ない、ナビ画面が小さい、先進技術の遅れ |
| 総合 | 個性がある、人とかぶりにくい、中古がお得 | モデルチェンジが遅い、リセールバリューが低い |
この比較からわかるのは、ネガティブな意見は「見た目」と「情報機器の古さ」に集中しているのに対し、ポジティブな意見は「走る・曲がる・止まる」という車の本質的な性能、および「内装の快適性」という体感的な価値に根付いている点です。エルグランドは、視覚的なアピールでは劣るものの、「車としての完成度」では今なお高い水準を維持しているのです。
新型エルグランドの真相
デザインについての総括
新型エルグランドのデザインは、「ダサい」のではなく、「時代に合わなくなってきた」と総括できます。
エルグランドのデザインは、高級感とスポーティーさを両立した先進的なものでしたが、市場のニーズが「より大きく、より派手」な方向へシフトした結果、その独自の美意識が現在のミニバン市場で少数派になってしまいました。しかし、その低重心デザインがもたらす走行安定性は、他のミニバンにはない明確な個性として存在し続けています。
販売状況と今後の展望
販売台数の低迷は事実ですが、次期モデルの開発は日産にとって最重要課題の一つです。次期モデルでは、e-POWERの搭載やデザインの刷新が期待されており、市場の「エルグランド復活」への期待は非常に高い状態です。
今後の展望としては、日産がアルファードと同じ土俵で「広さ」や「威圧感」を競うのではなく、「e-POWERによる圧倒的な走行性能」と「日本の道路事情に最適化された低重心が生む安定性」という独自の強みを全面に押し出す戦略を取る可能性があります。これにより、エルグランドは「運転の楽しさと快適性を極めた、大人のためのプレミアムミニバン」という独自のポジションを再確立し、再び市場の注目を集めることは十分に可能です。
新型エルグランドを選ぶべき理由
もしあなたが以下の項目に当てはまるなら、現行エルグランドは今なお「選ぶべき」価値のある、真のプレミアムミニバンです。
- 人とは違うミニバンに乗りたい: アルファード/ヴェルファイアの群れに埋もれたくない、個性を重視する方に最適です。
- 派手さよりも落ち着いた高級感を重視する: ギラギラした装飾よりも、本革や木目の質感による「本物の上品さ」を求める方に響きます。
- 長距離運転での「走りの安定性」を最優先したい: ドライバーとして、低重心とマルチリンクサスペンションがもたらす安心感と疲労の少なさを重視する方に強く推奨されます。
- 中古市場でお得に豪華なミニバンを探している: 新車価格の割に中古価格が手頃なため、最高のコストパフォーマンスで最高級の乗り心地を手に入れたい賢い選択肢となります。
まとめ
「新型エルグランド ダサい」という検索キーワードの裏には、「エルグランドという名車には、もっと活躍してほしい」という、ファンやユーザーの期待と愛情が隠されていました。
デザインが現在の主流とは異なっても、その高い走行性能と内装の高級感は、今でも通用する高いレベルにあります。次期モデルの登場が待たれる中、現行型は「通好みの隠れた名車」として、独自の地位を築いていると言えるでしょう。
ぜひ、この機会に一度、エルグランドの持つ真の魅力を体感してみてください。

